本棚に本があふれてる

読書の記録と本にまつわるあれこれ

丑年なのでうしの本

2021年もすでに2週間たってしまいました。

新年の抱負として、今年はもう少しまめに更新しようと思います。

 

さて今年は丑年。

牛の出てくる本、で思い出したのは

『はなのすきなうし』

 

 

  

 

表紙の赤が印象的なので、挿絵もカラーかと勘違いしていましたが

久しぶりに読んでみたら挿絵はモノトーンで落ち着いた雰囲気です。

でもその一方で牛の表情や人の動きは漫画チックでクスッと笑えます。

すぺいん とか ふぇるじなんど とか、すべて平仮名表記なのが、

まきば(ぼくじょう、ではなく、まきば)ののんびりした牛たちの姿に

よく合っていてほっこりします。

 

スペインのとある牧場に、フェルジナンドという牛がいました。

 牧場の他の牛たちは、闘牛になることを目指して飛んだり跳ねたりしていましたが、

フェルジナンドは木陰に座って花のにおいをかぐのが好きでした。

(リアル「草食系」ですね。)

大きく強い牛に成長してもひとり静かに暮らしていたフェルジナンドの元に、

ある日5人の男たちがやってきて…。

 

思わぬハプニングで闘牛にされてしまいますが、戦おうとしない。

どうなっちゃうの?

でもだいじょうぶ。

フェルジナンドは牧場に帰って、以前の暮らしを取り戻すことができました。

  

子どもの頃は、

「まきばにもどれてよかったとおもいました。

 花のにおいが好きな牛はかわいいとおもいました。」的な感想でしたが。

今はもう少しあれこれ考えてしまいます。

 

 他の牛たちからみたらフェルジナンド的な生き方は「負け組」でしょう。

華やかな大都会で闘牛として活躍するチャンスが巡って来たのに、

あっさりそれを手放してしまうなんて。なんてもったいない。

 

でも、フェルジナンドは言います。

   

「ぼくは こうして、ひとり、はなの においを かいで いるほうが、すきなんです」 

 

群れない、周りに合わせない、

自分の好きなことができればひとりでも幸せだしさみしくない。

他の人に期待されても自分のやりたいことでなければやらない。

…のんびりおっとりしているようにみえて、なかなか筋の通った生き方です。

 

でもなかなか貫けないですよね、そういう生き方。

ついつい、世間一般の幸せとか、平均的な生き方とか、競争に勝つとか、

周りの顔色を窺ったり、周りからの評価を気にしたり。

あなたの能力ならこれが向いている、これくらいできる、と言われれば、

がんばって、時には無理をして期待に応えようとしたり。

そしてうまくいかなくてどんどん自己評価を下げてしまったり。

日々の生活が忙しすぎて、自分が本当に「好き」なことさえ忘れてしまいそうになる。

そうだ、今年は「自分の気持ちに正直に生きる」努力をしてみよう!

・・・と思ったり。

 

 

どうしても気になってしまうのだけれど、

実際のところ闘牛に向かない牛ってどうなってしまうの?

おいしくいただかれちゃったりしないの?

・・・と思ったり。

 

子どもの絵本を読みながら、

深読みだの、妙な心配だのをしてしまうようになりました。

こういう時が、「今週のお題」「大人になったな、と感じる時」です。