本棚に本があふれてる

読書の記録と本にまつわるあれこれ

『赤毛のアン』~変わらない世界、けれど変わっていくもの~

いつも素敵な文章と美しい写真でわたしを夢見心地にさせてくださる、ブログ友の

Miyukey(id:Miyukey)さん。

アラフォーの主婦になった私が、古い親友に再会するように

16歳になったアンの日々をいま、読んでいます。

あの時に止まっていた時間が、一気に流れ出したみたい。

 

miyukey.hatenablog.com

 

今回ご紹介させていただいたこの記事には、うっとりと夢心地にさせられたのはもちろ

ん、「腹心の友を見つけた!わたしも『アン』について語りたい!」という気持ちも

むくむくとわいてきて。厚かましくも便乗させていただきました。

 

(いろいろ翻訳されていますが、やはりわたしも村岡花子さんの訳が好きです)

 

男の子が欲しかったマシュウとマリラの家に手違いでやってきた、赤毛でそばかす、や

せっぽちの孤児のアンがカナダの美しい自然の中で成長していく物語。

出版は1908年なのですでに100年以上も昔の本ですが、世界中で翻訳されて今なお数多

くの少女(と、元少女)の心をとらえて離さない魅力にあふれています。

 

わたしもアンと一緒に泣いたり笑ったり、美しいプリンスエドワード島の風景を思い描

いたり、ダイアナとの友情に憧れたり、ギルバートとのロマンスに胸をときめかせた

り…。夢のような時間を幾度すごしたことでしょう。いつ読んでも、何度読んでも、ペ

ージをめくればアンに会える。何年たっても変わらない、ロマンチックな世界をうっと

りと味わう至福のひと時。これはもう、Miyukeyさんに全面同意です。

 

アンが好きすぎるから続きは読まなくてもいい、いつまでも少女の気持ちでいたい、こ

の気持ちもわかります!

そうは言ってもわたしは先が知りたくなって続編も読んでしまったのですが、どれを読

んでも、何度読んでも、『アン』の世界は変わらない。美しい風景描写や心優しき人々

の暮らしぶりは決して色あせないどころかますます輝きを増すように感じられます。

けれど、感動するポイントは、読むたびに変わってきたように思います。

 

初めて読んだときは、とにかくアンのやることなすことが面白くて。

お気に入りの場所に名前をつけたり、木々や花々に話しかけたり、本棚に映る自分の姿

を友達にしたり。なんて面白い子だろう、一体次は何を思いつくんだろう、何を始める

んだろう?そんなワクワク感と、その期待を裏切らない滑稽なエピソードの数々がとて

も楽しく、時折みせる大人顔負けの活躍もカッコよくて憧れでした。

 

もう少しすると、実は理想を追い求める努力家で、失敗しても未来に希望を持っていつ

も前向きなアンの性格に惹かれるようになりました。時々暴走する想像力だって、別の

視点から物事をみることができたり、他の人の気持ちを思いやる力があるということ。

「明日は何一つ失敗しない新しい日」「道の曲がり角をまがった先には、きっといちば

んよいものがある」そんなアンの言葉に感銘を受け、迷ったときには背中を押してもら

ったこともありました。

 

そして大人になると、年齢的にマシュウやマリラの目線で読むようになったからなので

しょうか、

女の子は役にたたないから孤児院に返すというマリラに、

「わしらのほうであの子になにか役にたつかもしれんよ」

新潮文庫赤毛のアン』P55)

と言ったり、

あの子はわしらにとっては祝福だ。(中略)

神様の思し召しだ。あの子がわしらに入用だってことを神様はごらんになったから

だと思うよ。(新潮文庫赤毛のアン』P473)

とひとりつぶやくマシュウの姿に涙するようになりました。

アンはマシュウとマリラに出会えて人生が大きく変わったけれど、アンに出会うすべて

の人もアンの影響で大きく変わっていく。そして一番変わったのはマシュウとマリラ。

アンを救ったつもりがアンに救われた…そんな風に思うようになりました。

 

変わらない、けれど変わっていく「愛すべきなつかしき世界」。

次に訪ねるときには、どんな風景が見えるのでしょうか。

 

 

 

赤毛のアン』のシリーズは、少女から大人の女性になり、家庭を持ち、子供を育

て、というアンの半生を描いています。

 

ちょうど私が『赤毛のアン』を読み始めたころ、「世界名作劇場」で放映されていまし

た(1979年)。

アンとダイアナがイメージ通り!エピソードも原作にほぼ忠実なのがうれしいです。

 

1985年にはミーガン・フォーローズ主演で映画にもなりました。

エピソードには?と思う箇所もあるのですが、美しい風景と美しい音楽が醸し出す世界

感がとにかく素晴らしいです。 

 

プリンスエドワード島の風景やモンゴメリの生涯を通じて『アン』の世界を紹介してい

ます。

 

『アン』の世界をもっと深堀りしたい方にはおすすめ。

シェイクスピアやブラウニングなどの英文学との関連、人名に見る聖書との結びつき、

花言葉の秘密、作者の生い立ちや時代背景など、今まで知らなかったアンの世界が見え

てきて新たな感動に出会えます。

 

こちらは作者の生涯や時代背景をより深く解説しています。

 

モンゴメリの自伝的エッセイ。

『アン』を彷彿とさせるエピソードもありながら、アンとは違う一面を持ってい

る、複雑で繊細なモンゴメリの内面を伺い知ることができます。